2018年11月のブログ記事
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告白をしたのは 夜中に感傷的になったからだと あなたが受け流した瞬間の 私の気持ちがどんなものだったか わからないでしょう リビングには大きなぬいぐるみ 腕枕に頭を乗せながら あなたが笑って流した時の顔と 「ああ、このぬいぐるみはあいつの……」 いや、違うな、と口をつぐんだ顔を思い浮かべてる 気分... 続きをみる
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……ずっと昔、私がまだ若かった頃、なしくずし的に一緒にいた男に本命の彼女を紹介されたことがある……男の上司とも関係のあった女の人だが、離婚して二人の子供を抱えて昼は会社勤め、週末の夜はクラブでコンパニオンをして生活していた。 「お客さんは靴見るよ。これあげるわ」 彼女は住んでいる団地の玄関脇のシュ... 続きをみる
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ほんのひととき 罵声と哄笑の飛び交う頭を休め 夢を見ていた 傷つかないという、 それ自体が手を叩いて笑いを呼ぶような 感傷的な夢を
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「三日が百日にも思えたことがある?」 ベンツの左ハンドルで夢見るような目つきで彼はフロントガラスの向こうを見つめる 助手席で私は生理的嫌悪感を抱きながら彼に視線を走らせる 芝居がかっていてあざといから きっとバブルの頃ホストだった時に身に着けた女を落とすテクニック 「俺、貯金ゼロのお客から500万... 続きをみる
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旅先の地の すでに冬のごとく冷たく澄んだ空にかかる クレーン車のオレンジが鮮やかに この目に映る 昼食の甘エビは甘く舌を驚かせた 長いあいだ 街も人も映る景色は砂画面 SSサイズの体で食べるものは味のしないガムのよう 帰ってきた私の感受性 おかえりなさい
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「自分で自分のことも出来んやろ」 そう言ってあなたは去り際に 私の心に刺さって取れない 小さな棘を残していきました 愛のかわりに信頼が残っていたので あなたのその捨て台詞で 私の心に永遠に鍵がかけられたのです
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「絵は魂だ」と映画の台詞 詩も多分同じ 魂が入っていなければ ただの言葉の羅列 私の魂はおそらく空っぽだ 何処にあるかもわからない 医者は脳の視床下部にあるという 作家はお腹のあたりにあるという 魂の在処も知らないのに 空虚な魂の存在を漠然と感じる それでも書き続けよう いつか言葉は歌に変わるだろ... 続きをみる
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暗い 冷たい水が口の中まで入ってきて 沈むまいと手足をばたつかせる ふいに頭上高く 陽の光で明かるく切り取られたような円の縁で 女の顔がこっちを覗き込んでいる じっと複雑、悲し気な顔をして 助けて、と水を吐きながら叫んでも答えない 去っていく あの円から……昔私をあそこから投げ入れた女が お前は邪... 続きをみる
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心に井戸を掘って記憶を沈めた それから20年 見たの 見たの 井戸の縁からそっと底を 暗闇にまぎれて 若き日の私がいた 殺した殺されたはずの魂が それからおよそ10年におよぶ自暴自棄の時を どろりとした井戸の底の腐った水に 足をとられて もがいてる あがいてる 独りで空を掴もうとして手を伸ばしてる... 続きをみる
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