月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

2018年12月のブログ記事

  • 謝罪

    濁った頭で来年の抱負を誓う 「詩」を書く 日記や思いの垂れ流しではなく 「詩」が何かわかっていない 「ユリイカ」や「詩と思想」や「現代詩手帖」を買い 図書館で有名詩人の詩集を借りる 藁でもつかむように半ば溺れながらそれらを掴もうとしている わかるようになるには 何かを掴むには 来年だけでは足りない... 続きをみる

    nice! 4
  • また同じ話 夜毎の涙

    あなたに去られたのは 心の傷が引き起こす問題行動などではなく 単に「使えない」からだった 「自分で自分のこともできんだろ」とあなたは言った 現実的なその言葉に私は打ちのめされた それまでの十年、精神的に救われることだけを考えていたから 周りから見れば「やることやってくれればいいのに」 地味で冴えな... 続きをみる

    nice! 4
  • 呟き

    書くことは己の無知を曝け出すことに他ならない ならばなぜ書きたがる 業などというものは持ちあわせていない 私を書かせるものはくだらない承認欲求と虚無感を満たすため それゆえに書けば書くほど惨めさが募る夜

    nice! 4
  • 迷い

    私の身に起こったことが20年の時を経て社会問題だと気づき 声を上げ共感してくれるフォロワーさんが増えました 連日流れてくるTLの性暴力に関するリベラルな投稿に 勇気をもらい強気になり自ら発信するように けれどもそれも一年経つと疲れてしまいました 人間の性根はごまかせないものです 知的能力も フェミ... 続きをみる

    nice! 3
  • 軽蔑すべき本音

    差しだされた腕は 初めて男の人に与えられたなにげない仕草で すんなりと頭を載せて 悪い夢でうなされた私を あなたは軽く声をかけて起こし そのあざとさの感じられない態度に 幾度も男の人に酷い仕打ちを受けてきた教訓を忘れて このままあなたの腕といわず人生に私を預けたいと 自分の人生を私自身をあなたに依... 続きをみる

    nice! 3
  • 無力

    煙草の煙が図書館の喫煙室に臭いをこもらせている 長椅子に腰かけ時間を潰す私の横に ホームレスのような身なりの高齢の男性がしゃがみこむ ぽつりぽつりとかろうじて聞き取れる小さな声で 男性はうつむいたまま喋り出す わしな、土方をしとったんじゃ 若いのはあかんねん、女はええんやで けど男はな、集団でやら... 続きをみる

    nice! 2
  • 犬のように

    生まれつきもてる才能を備えたあなたに 会うたびにのめりこんでいくのは当然のことでした どこまでもナンセンスな趣味を持つ私は あなたの甘い声と色気と端正な顔と女あしらいのうまさと なおかつ普通の勤め人という肩書きに 安心して飛び込んでいくことができたのです 子供の頃から少女漫画ばかり読んでいた 映画... 続きをみる

    nice! 3
  • 30年ー後半ー

    詩という言い訳のもとに思いを吐きつくして ようやく現実に帰る 醜形恐怖で鏡を見れない30年 突然老眼鏡をかけてじっと洗面台を見る 水回りの汚さが目に飛び込んできた 皺だらけの顔や毛穴、しみを残酷に映し出す鏡 私の残酷な真実より鏡の汚れに呆然として 詩は排泄物だと講師が言った 空っぽになるまで吐いて... 続きをみる

    nice! 2
  • 観念

    ひとしきり胸の内を吐き出して 冷静になって自分の顔を鏡で見る 整形してつくった二重の幅が いつのまにか加齢で狭くなっている 笑えば目尻に下瞼に眉間におでこに 無数の皺が刻まれる 大きく笑えば頬を長い皺が縦に走り 無表情になれば頬の肉がぶらさがって 葛藤と孤独と惨めさにまみれて 女と呼べる時期をどぶ... 続きをみる

    nice! 2
  • 一瞬の永遠

    数万年もしないうちに人類は滅びる 数億年もしないうちに地球は滅びる だから生きる意味などないとある人は言う いいえ意味を求めるなどせんないこと 未来永劫続くのを求めるなど 望んだのは あなたといたあの一瞬を死に果てるまで 生きる恐怖 死の恐怖 正気になれば足元に広がる真っ暗な深い穴を 覗かないで気... 続きをみる

    nice! 4
  • 崩れる

    嫌われるより辛いのは笑われること 笑われるより怖いのは怒らせること 頭が弱く鈍くさいゆえいつも怯えて ギャンブルのように整形を繰り返し 普通より奇麗と言われだした矢先に 見知らぬ男により脆い自信は崩れた それから誰も相手にしなくなるまで 色んな人を渡り歩いたいい人悪い人 楽しかったことなどない傷つ... 続きをみる

    nice! 3
  • わたし一人

    カーテンの隙間から空が暗くなっていくのを眺めている 薬を二百錠飲んで三日間眠っていたせいでぼんやりした頭で 手首には無数の切り傷が走っている 安全ガードつきのカミソリで引っ掻くように切った表面だけの傷 彼からのメールをチェックする 「薬を飲むなんて、もっといい人だと思いたかった」 振られたショック... 続きをみる

    nice! 2
  • 思い出にかわるゴミ

    古い傷を整理できず溜め込み 私の脳みそはゴミ箱のようだ ごちゃごちゃして混乱してる 悲しい辛い記憶ばかりだけが ゴミ箱に投げ込まれ目立って それらをいちいち取り出して しげしげと複雑な目つきをし 悲しい恨めしい顔で見つめる そんなものを捨てるどころか 大事に畳んでしまい直すんだ どうしてそんなこと... 続きをみる

    nice! 4
  • 鉛のような夜

    いつの間にか眠っていて夜中に目覚めた どうしてこんなに憂鬱な気分なのか 体が鉛のようにどんよりと重い すべてが絶望的な気持ちになる 過去が胸を去来する うまくいったことなんか何もなかった あれもこれも、これからだって…… なのにどうして未来がよくなるんだ? 利口になれず歳をとるばかりで 「君はこの... 続きをみる

    nice! 2
  • 足下で崩れ落ちる床

    歩いていくそのそばから床が崩れ堕ちていく 私は屈んで廊下の電気をつける 床は少しも損なわれていなかった 不眠三日目の幻覚か 電気を消すとまた足元の床が崩れてしまいそうで おそるおそる歩を進めた 電気を消してベッドに横たわると 天井に蛍光緑の大きな我が 開高緑の液体を吐き出していた 電気をつけると消... 続きをみる

    nice! 3
  • 若気の至り

    君は自分の不幸を売り物にするけど、臓器を売られるために生まれてくる子供だっているんだぞ 私の何気ない一言にあいつは声を荒げていた 愚痴をこぼしているつもりの私は過剰反応だとうんざり あいつはそれまで見たり聞いたりしたものと比べて苛立ったのだろう その女友達が「あの人の子供時代の話を聞いたら泣くで」... 続きをみる

    nice! 5
  • 振り返る

    笑われるのも好き勝手言われるのも 自嘲して流す術でやってきた ふられるのも蹂躙を受けたのも こんな私だから仕方ないと 自らを欺いて自らに向き合わず そのままの状態であなたを好きになってしまった ひどく傷ついているのだけは知っていた その傷をあなたになすりつけようとして そうして救われようとした自分... 続きをみる

    nice! 2
  • 心は血まみれ

    傷を負った心は さらに傷を必要とする 「あんなの、大したことじゃなかったわ」と思うために 同じ痛みを再現して強がるのだ 血を流す心は さらに血をだらだら流す 当人は自分の心に向き合わないから気がつかない 再体験で傷口から血まみれなのに 手負いの虎のように

    nice! 2
  • 必要な人

    「千代子なんかなあ、十錠飲んだら死ぬ薬を飲んでたんだぞ!」 軽い安定剤を大事そうに扱う私に、彼は喚く こうも言い足す 「ふん、デパスくらいで!俺なんか!」 『俺なんか』 彼が離婚で親権を獲られ、自殺志願になって、それから…… 「俺のとこで買ったら激安なんだ。でもSさん、俺が自殺したがってたの知って... 続きをみる

    nice! 3
  • 悪あがき

    私の告白を受け流すあなたの 微笑みは温かみがあるだけ寒くて 間をおかず体を求める 愛の不在に気持ちは離れる しがみついた夢が消えていく あなたとの描いた夢消えるよ 過去をパンドラの箱にしまえれば 独りで呑み込んでいられたら あなたが傷を受け止めてくれたら いつまでも一緒にいられた 声に出した秘密が... 続きをみる

    nice! 2
  • 罪深き夢

    あんな記憶を引きずって 生かされているなんて思うことはできない 彼は楔を打ち込んだ 忌まわしい傷をうちあけた私に 別れを 「自分で自分のこともできないだろう」 頭の弱さを理由にでっちあげて 私が鬱陶しいだけなのを正当化した あなたの腕枕で見た悪夢から 私を揺り起こしてくれた あの夜と まるで違う人... 続きをみる

    nice! 6
  • 二重へのこだわり

    整形二重が崩れていく 瞼が弛んでメスで刻んだ二重のラインが見えなくなる アイプチをしても瞼の皮膚が伸びているので効果がない それでも藁にもすがる思いでアイプチの液体で二重をなぞる 液体が目に入り水で洗い流す 焦りにも似た 重い瞼に押し潰された細い目に戻っていく恐怖 生まれつき目は糸のように細かった... 続きをみる

    nice! 3
  • すべてが終わったあとで

    すべてが通り過ぎたあとで 真実を理解して哄笑が溢れ出る 彼は私を愛してなかったが それどころか彼は私を馬鹿に 同棲していた女が心を病んで それで彼は私のもとに来た 私への仕打ちは酷いもので けれどその女にも そんなものだったのだろうと ある日私は人づてに知る 彼が「もう死んでくるわ」と 女と心中し... 続きをみる

    nice! 3
  • 堕ちていく

    彼の停めたベンツを追い越して、白のクラウンがキッと止まる。 彼は黙って左ハンドルの運転席を下りて外に出る。 Sさんがスーツのポケットに突っ込んでいた手でそのドアを開ける。 品物を見定めるような目つきで私を見る。 私はとっさに精一杯の笑顔を浮かべた。 「〇と申します。私まだよくわからなくて……よろし... 続きをみる

    nice! 2
  • 愛を乞う彼

    美貌だった。とても美しい人だった。カオリという、彼が引き合わせた本命の女は しっかりしてた。人間のできた人だった。ユウコという、彼が付きあってた女は とにかく優しかった。子供を奪われたシノブという、彼を好きだという浮気相手は 「カオリみたいな奇麗な子が、前は男に貢いでたんだぜ」 「惚れたっていうの... 続きをみる

    nice! 2
  • ある夜の思い出

    「俺の女どもに、自分が一番よ  自分が一番可愛がってもらってるのよって吹聴しやがって」 酒臭い息を吹きかけながら男が絡む 涙がポロポロ頬を伝う おいで、と忍ちゃんが 私の首に手をまわして スカート越しに 正座した脚の太腿のあたりに寄せ 泣いてうつ伏す私の背中を撫でた 「帰って。今どんな状態がわかっ... 続きをみる

    nice! 5
  • 理由

    こんな風に自分を晒して こんな風に傷口を開いて 私は何がしたいの 自分を虐めたいの 違う 私は書くことで 書きながら探してるの 過去に固執するそのわけを 喋らなければ 書かなければ 誰も知ることはないし 知りたくもない なのになぜ書く? 幾人かの過ぎ去っていった人々 彼か彼女らについて詳しいわけじ... 続きをみる

    nice! 3
  • Yes

    「いつ死んでも同じ。死ぬ時は一緒に死のう」 私の知らないたくさんの汚いものを見て 私に教えないたくさんの汚いことをした あなたはつまらなそうな顔でハンドルを握りながら言う 一度の性的蹂躙で壊れた私はその言葉で男にすがりつく あなたの知らないたくさんの奇麗なものを見て あなたに言わないたくさんの奇麗... 続きをみる

    nice! 2
  • おやすみなさい、子供たち

    「若い男にとっちゃ遊びに決まってるだろ、あいつには子供がいるんだぜ」 声を荒げてそう言うと、彼は伏した私を上から抱きしめる 「なあ、俺だって色々あったんだよ、わかってよ……」 無言で瞼を閉じて片頬をカーペットにつける 彼の「男の子と女の子」は、あの男の子供達の連想へとつながっていく。 あの男。堕落... 続きをみる

    nice! 3
  • 卑怯な恋

    ひらり、と紙が宙に舞い落ちる 拾い上げてもう一度復唱する 「昨日あなたと私の赤ちゃんが死にました  あなたが私の所に帰ってくれた時は本当に嬉しかったけど  このままだとまたお互いに悪くなるから別れましょう  桜子ちゃんを忘れないでね」 笑いたい笑えない 彼の彼女が残していった置き手紙 彼の女友達の... 続きをみる

    nice! 3
  • 犠牲

    男が耳にあてた携帯電話の受話口から、女が男の名前を呼ぶ。 ……君。息も絶え絶え、と言った風に。 焦ったような怯えたような顔をして、男は早口で捲し立てる。 「〇子、もう出てくるな。自分がどうして34キロまで痩せたか考えてみろ。仕事と俺と、両方うまくやろうとして、それで痩せたんだろうが」 プツッと電話... 続きをみる

    nice! 4
  • 忘却

    時間というのは不思議なものだ あの夏の朝の陵辱の生々しい記憶を それにより生じた心の隙につけこんだ男の仕打ちを 忘れようとせずとも私の中から少しずつ消し去っていく そして20年経った今、こうしてすらすらと書いている 痛みもなく書ける瞬間があるのだ あの夏から10年に渡り私は記憶に支配されていた ど... 続きをみる

    nice! 4
  • 12月

    冬桜が咲いている 昼下がりの植物園 池は紅葉の水鏡に 燃える赤を映して もうすぐクリスマス 電話がかかってきて 甥や姪への贈り物を 要求され苦笑いする おかげで私は過去から 現実へ我に返ってくる 地下街を歩いて買い物 あれこれ迷う身内の為 毎年この季節に思い知る 子供達が成長していると 私は過去に... 続きをみる

    nice! 1
  • たとえ自滅しようとも

    わかってもらえるなんて、どうして期待したのだろう 「男はね、女の浮気は許さないよ。独占欲があるからね」 最初の頃にあの人は睨みつけるようにして釘をさした そんな人が、どうして私の過去を許すとでも? 自分を傷つけずにはいられなかった どうしようもなかったんだ、そんな訴えに耳を貸すと? 昔、まだ何も知... 続きをみる

    nice! 3