月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

ある夜の思い出

「俺の女どもに、自分が一番よ
 自分が一番可愛がってもらってるのよって吹聴しやがって」
酒臭い息を吹きかけながら男が絡む


涙がポロポロ頬を伝う
おいで、と忍ちゃんが
私の首に手をまわして
スカート越しに
正座した脚の太腿のあたりに寄せ
泣いてうつ伏す私の背中を撫でた


「帰って。今どんな状態がわかってるの⁉」
男を撃退し、忍ちゃんは子供をあやすように歌う
眠れ 眠れ
窓際でガラス玉が黄色く光り
中で黒いセロファンの男の子と女の子が手をつないでいる
忍ちゃんが離婚相手に親権を離婚相手にとられた子供達
その姿の二重写し


35歳で死ぬと余命宣告を受けた彼女と私の28歳の物語