月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

蚊を飼う

蚊を叩いたにすぎないと
私を切り捨てた あの人は
ネットを見ているのを想定して書いた
暖かな血は冷えて体内を流れず
胸のあたりはギュッと筋肉が収縮する
頭は混乱して靄がかかり思考停止だ
これがあの人の本音 それがあの人の見た私


「蚊を叩いた」
それは私の引き攣った頬を叩いた
緊張で固くなった胸が微かに抉られ
半年たっても頭のなかで時折繰り返される
「蚊」という言葉


ずっとこのことを覚えているだろう
幾度もフラッシュバックする
埃のようにいつのまにか消えていく私を
容赦なく一蹴りした 「蚊」


あなたはもう忘れたでしょう
私はピクピクと生き血を流し痙攣する
あなたの叩き落した蚊を心に飼っています