月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

男は支離滅裂に自滅する

「三日が百日にも思えたことがある?」
ベンツの左ハンドルで夢見るような目つきで彼はフロントガラスの向こうを見つめる
助手席で私は生理的嫌悪感を抱きながら彼に視線を走らせる
芝居がかっていてあざといから
きっとバブルの頃ホストだった時に身に着けた女を落とすテクニック


「俺、貯金ゼロのお客から500万騙し取ったことあるぜ」
「好きって寄ってくる女が来ると、チッ、またかよって」
「金を取りたかったら、あったかい話に嘘を混ぜるんだ」
仲間だからと私に吹き込んでくる汚いやり口


なんでも喋るこの男は
それでも私が惚れていると高を括っているのだ
あまりに嘘をつきすぎてもはやわからなくなっているのだろう
自分にさえ嘘をついて 彼にとっての真実など歪み切ってもう探せない


「俺はもう終わってる」
「お前が幸せになるまで見届ける」
神も見放すだろうこの男は嘘と搾取で成功すると信じている


やがて男は自滅し、その前に私は黙って去るだろう