月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

窓越しに 旅先にて

飛行機窓から覗く街並みが
模型のように粒状になり遠ざかる
堕ちたら死ぬという高みを過ぎて
ちぎれ雲が現れ
それは足跡のない早朝の雪景色や
真っ青な空に次々と姿を変えていく
なんて表情の豊かな空


降り立った地を車で走る
どこまでも続く道の脇に白樺が
一糸まとわぬ姿で屹立している
黄、茶、緑のグラデーションの葉を広げる木々
えげつないほどの赤い紅葉
蔦まで燃えるような林


コンクリートの巨大な倉庫にも
からめとるように蔦がからまって
灰色の外壁に鮮烈に映える
あの陵辱の日に身に着けていた
ベルベット調の暗赤色の生地に
一面からまった
強烈な日差しに照らされ輝いた黒い蔦模様のように


溶けかけた雪をまたぐと
光沢のある湖が海のように横たわる
波よ静かに 美しさで私を包め