月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

卑怯な恋

ひらり、と紙が宙に舞い落ちる
拾い上げてもう一度復唱する
「昨日あなたと私の赤ちゃんが死にました
 あなたが私の所に帰ってくれた時は本当に嬉しかったけど
 このままだとまたお互いに悪くなるから別れましょう
 桜子ちゃんを忘れないでね」


笑いたい笑えない
彼の彼女が残していった置き手紙
彼の女友達の台詞が蘇る 「あの子、卑怯やねん」
彼女は卑怯 悪者にならないずるい別れ際


悲しくさせる最初の一行
悲しみは最後の一行で怒りに変わる
奇麗すぎるから
怒りは憎しみに変わっていく
彼の本物の彼女だったと手紙全体が告げて


破りたい破れない
手紙をそっとたたんで机にしまう
彼の大事なものが入った引き出しに
憎しみもしまって
怒りをおさえて
悲しいだけ
嫉妬深くて醜い私の正体を彼に悟られないように
私もずるい
そんな女ばかり選ぶ彼も


この恋はずっと悲しいだけで終わるのかもしれない
奇麗なうちに 傷つかないように
みんな卑怯 私も彼も あなたも