月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

下手くそ

自惚れてるあいつが嫌いで反吐が出そうでした
あいつは偽物で
学生の事はクラスで「気持ち悪がられていた」
親の愛情に飢えて
ホストになってから女にもてる術を覚えた
自称「顔はまあまあ」の
言う事も声の出し方も表情もあざとい
私の出方によって態度をころころ変えて腹の中を露呈する
馬鹿な男
だから一緒にいたのです 軽蔑と優越感の鎧で傷つかないですむから


自信のあるあなたが好きで気が狂いそうでした
あなたは本物で
若い頃は女に間違えられるほど奇麗で
愛情に満たされて
物心ついた頃からもててそれは天性のものだった
自分で「顔が良くてもなんにもならん」と
言う事が様になり声は甘く口調は男らしい
私の出方など百戦錬磨で子供のいるあなたは笑って流す
大人の男
いつまでも一緒にいたかった 次第に見限りの眼差しで傷つけられようとも


「人間叶わない夢は見ない」
テレビで心理学者が言った台詞
夢を見た私が馬鹿でした あいつ以上に
ずっとずっと あなたが私を見逃して一緒にいてくれる夢を見るなんて


馬鹿なくせに 馬鹿だから あいつを見下すことでプライドを守ろうとした
愚かなくせに 愚かだから あなたを立てることで愛情を乞おうとした


どこまでも浅はかで俗物の私
どこまでも愚かで純粋な私


こんなに下手な愛し方しかできなかった私