月美の卑屈を生きる詩の新着ブログ記事
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現実が容赦なくやってきて 私を夢から引っ張り出したのよ ええ夢のなかにいたの あなたといる部屋のなか そして手首を引っ張られていく私の背中を蹴ったのは 他ならない あなただったわ!
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とても大きな声で泣きわめき 一瞬でケロっとする子供だった 子供の面影が薄れていき 泣けば泣くほど 醜い顔が崩れて笑われ気持ち悪がられるだけだと 気が付いた思春期から 「誤解されるくらい」泣かなくなった その頃から 死が始まっていたのかもしれない
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本当のことはいつだって笑い話 「僕、子供の頃いつでも死にたいなあと思っていたよ 周りに気持ち悪がられてた 嫌いな奴の家に猫の死体を置いたり……」 これだけが笑えなかったの 嘘にまみれたあなたの きっとこの話だけが 本当なのに
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過去があまりに惨めだから 体のいい物語にして嘘をでっちあげる 主人公が美女ならば 屑にだまされた醜い愚か者は 罪な男に翻弄された悲劇のヒロインに そのためならば 顔でも体でも切り刻んで 私の顔に残った縫い傷は 過去を捏造しようとして失敗した証 何もなかったように奇麗な顔で 澄まして生き直そうとした... 続きをみる
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涙が頬をつたう 私は今日も泣いている 泣いているのはいつもと違う理由 SNSに投稿された友人の正月写真が 20年以上の時を経て変わらず美しかったから 私より4つ上の彼女 肌の白さや髪の色、質は変わらないくらい 背格好も似ている けれど写真に写る彼女は私とはまるで違う ハワイでお気に入りの赤いゆった... 続きをみる
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あなたに去られたのは 心の傷が引き起こす問題行動などではなく 単に「使えない」からだった 「自分で自分のこともできんだろ」とあなたは言った 現実的なその言葉に私は打ちのめされた それまでの十年、精神的に救われることだけを考えていたから 周りから見れば「やることやってくれればいいのに」 地味で冴えな... 続きをみる
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書くことは己の無知を曝け出すことに他ならない ならばなぜ書きたがる 業などというものは持ちあわせていない 私を書かせるものはくだらない承認欲求と虚無感を満たすため それゆえに書けば書くほど惨めさが募る夜
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傷を負った心は さらに傷を必要とする 「あんなの、大したことじゃなかったわ」と思うために 同じ痛みを再現して強がるのだ 血を流す心は さらに血をだらだら流す 当人は自分の心に向き合わないから気がつかない 再体験で傷口から血まみれなのに 手負いの虎のように
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すべてが通り過ぎたあとで 真実を理解して哄笑が溢れ出る 彼は私を愛してなかったが それどころか彼は私を馬鹿に 同棲していた女が心を病んで それで彼は私のもとに来た 私への仕打ちは酷いもので けれどその女にも そんなものだったのだろうと ある日私は人づてに知る 彼が「もう死んでくるわ」と 女と心中し... 続きをみる
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「若い男にとっちゃ遊びに決まってるだろ、あいつには子供がいるんだぜ」 声を荒げてそう言うと、彼は伏した私を上から抱きしめる 「なあ、俺だって色々あったんだよ、わかってよ……」 無言で瞼を閉じて片頬をカーペットにつける 彼の「男の子と女の子」は、あの男の子供達の連想へとつながっていく。 あの男。堕落... 続きをみる
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わかってもらえるなんて、どうして期待したのだろう 「男はね、女の浮気は許さないよ。独占欲があるからね」 最初の頃にあの人は睨みつけるようにして釘をさした そんな人が、どうして私の過去を許すとでも? 自分を傷つけずにはいられなかった どうしようもなかったんだ、そんな訴えに耳を貸すと? 昔、まだ何も知... 続きをみる
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告白をしたのは 夜中に感傷的になったからだと あなたが受け流した瞬間の 私の気持ちがどんなものだったか わからないでしょう リビングには大きなぬいぐるみ 腕枕に頭を乗せながら あなたが笑って流した時の顔と 「ああ、このぬいぐるみはあいつの……」 いや、違うな、と口をつぐんだ顔を思い浮かべてる 気分... 続きをみる
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……ずっと昔、私がまだ若かった頃、なしくずし的に一緒にいた男に本命の彼女を紹介されたことがある……男の上司とも関係のあった女の人だが、離婚して二人の子供を抱えて昼は会社勤め、週末の夜はクラブでコンパニオンをして生活していた。 「お客さんは靴見るよ。これあげるわ」 彼女は住んでいる団地の玄関脇のシュ... 続きをみる
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ほんのひととき 罵声と哄笑の飛び交う頭を休め 夢を見ていた 傷つかないという、 それ自体が手を叩いて笑いを呼ぶような 感傷的な夢を
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「三日が百日にも思えたことがある?」 ベンツの左ハンドルで夢見るような目つきで彼はフロントガラスの向こうを見つめる 助手席で私は生理的嫌悪感を抱きながら彼に視線を走らせる 芝居がかっていてあざといから きっとバブルの頃ホストだった時に身に着けた女を落とすテクニック 「俺、貯金ゼロのお客から500万... 続きをみる
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旅先の地の すでに冬のごとく冷たく澄んだ空にかかる クレーン車のオレンジが鮮やかに この目に映る 昼食の甘エビは甘く舌を驚かせた 長いあいだ 街も人も映る景色は砂画面 SSサイズの体で食べるものは味のしないガムのよう 帰ってきた私の感受性 おかえりなさい
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「自分で自分のことも出来んやろ」 そう言ってあなたは去り際に 私の心に刺さって取れない 小さな棘を残していきました 愛のかわりに信頼が残っていたので あなたのその捨て台詞で 私の心に永遠に鍵がかけられたのです
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「絵は魂だ」と映画の台詞 詩も多分同じ 魂が入っていなければ ただの言葉の羅列 私の魂はおそらく空っぽだ 何処にあるかもわからない 医者は脳の視床下部にあるという 作家はお腹のあたりにあるという 魂の在処も知らないのに 空虚な魂の存在を漠然と感じる それでも書き続けよう いつか言葉は歌に変わるだろ... 続きをみる
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暗い 冷たい水が口の中まで入ってきて 沈むまいと手足をばたつかせる ふいに頭上高く 陽の光で明かるく切り取られたような円の縁で 女の顔がこっちを覗き込んでいる じっと複雑、悲し気な顔をして 助けて、と水を吐きながら叫んでも答えない 去っていく あの円から……昔私をあそこから投げ入れた女が お前は邪... 続きをみる
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心に井戸を掘って記憶を沈めた それから20年 見たの 見たの 井戸の縁からそっと底を 暗闇にまぎれて 若き日の私がいた 殺した殺されたはずの魂が それからおよそ10年におよぶ自暴自棄の時を どろりとした井戸の底の腐った水に 足をとられて もがいてる あがいてる 独りで空を掴もうとして手を伸ばしてる... 続きをみる
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好奇心は命取りだ 最初はただのホスト崩れだった 知らない男に「魂を殺された」抜け殻の私が 誰も信じられなくて 野良犬を拾うように 飼ったつもりのろくでなし 私のマンションで三日ぶりにシャワーを浴びて 車中生活を送っていた男を部屋に住まわせ 下手くそなカレーと下手くそなアイロンがけ 芝居だとわかって... 続きをみる
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私から逃げ出したかった どこまで歩いても走っても 思いつくすべてを試みても 私は私の中に閉じ込められ その向こうにいつだって 恐怖と不安と絶望を見てた ある夏の朝、ふいになされた 私に対する理不尽な蹂躙 事後いつも心は焦って 早く早く早く逃げて逃げて どこか安全な場所へここから あなたから どうし... 続きをみる
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誰かに汚された私が ふらついた足取りで 貴方に辿りつこうとしている 誰をも愛してない私が 怯え震え怖がりながら 貴方の腕を離すまいとしている お願いどうか 私を愛して下さい
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うねる髪は伸ばさないことでごまかしてきた 細い目は二重にしたら黒目がちで錯覚できた 鷲鼻は段の骨を削ると土台よく綺麗になれた 歳なのは独りでさえいれば自覚せずいられる なんでもしよう 愛せない自分と 向き合わない為
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腰の痣をメスで切り取る 麻酔の切れた状態で十数針、布団針を刺されるような痛みがささる 額や背中もびっしょりな私の頭から 医師が白いシーツを放るようにしてかぶせる 砂利のように嫌悪を悪意を投げつけられた 物心ついた頃には 幼稚園のビニールプールで 40年前 パンツだけを履いた子供達の群れのなか 汚い... 続きをみる
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