月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

レクイエム

目が覚めたらね
「書こう」って心の声が聞こえたの
とてもきっぱりと
二年前にふと思いついて三百枚半月で書き上げた
私とあなたと……「アンダーグラウンド」なことをする仲間達
それぞれに不幸で 悲しくて 優しくて
書き上げた物語は私に憑りついて
この二年まるで何も書く気がしなかったのよ
読後はただの救いのないえげつないカンジに仕上がっていて
正直忘れていたわ
でもね
突然「書こう!」って心の声が私をベッドから起き上がらせたの
スキャンダラスだから書くんじゃないわ
あんなこと平成の初め頃の泥臭い辛気臭い話だと思ってる
ただね あなた
二十年近く経って 膿を吐き出して副作用に苦しんで
それでも突然書きたいと思ったの
あなたの明るい笑顔を 陽気だったり泣いていたりする姿を
世間知らずであなたが引き合わせる人にいちいち新鮮な気持ちで興味を示した私を
優しかった同年代の女性達
子供がいて
お料理が上手で
自立していて
不幸で
20代ゆえの生の煌めきを私はこの手でとらえたいと思うの
それがもう私以外この世のどこにもいなかもしれない皆への愛よ
皆の生きて笑って泣いて怒っている姿がどんなに美しかったか
それは私のレクイエム