月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

後悔


反応があって怯えてブログごと詩を削除する


数十個の詩が消えてホッとする


私の過去が凝縮された日記


詩情などなく 詩の痕跡をとどめず



なのになぜか


「読者がついた」と通知がきて


削除されていなかった喜びに


いそいそと詩を書き


削除された 削除してほしかったはずの


嘔吐しそうな過去の塊 詩を探す



愛おしい私の消えてしまった詩達


粗けずりな剥き出しの心の声


泣いてる私怒ってる私清廉な私


ボタン一つで削除されたその中に


本当の私の欠片が散らばっていただろうか

術後

「トップシークレット、あいつ、やったんだってよって、二重にしたの有名だよ」


学食でランチを食べながら、クラスメイトがさばさばとした口調で言う


長テーブルを囲んで向き合う私達の脇に、小さな女が現れた。


「山本、やったん?」


大きな声を張り上げ、女が両手をあげる。


「アイプチ」


私が怒鳴ると、女は舌打ちでもするような顔で去った。


瞼はあいかわらず重く腫れぼったく、細い目の上をわずかに


二重の線があるかないかという程度で


不穏な雰囲気が私を包む


なぜこのくらいのことで


奇麗になりたいだけで


愛されたいだけで


私は

瞼の向こう

瞼を眼球の間に、薄いアルミ板が奥までゆっくりと差し込まれていく
声も出ない痛みに、医師や看護婦の姿もかすむ
額には汗がびっしょりだ
眼球に麻酔の針が刺される
ようやくして感覚をなくした瞼に手術が施される
この重い瞼が二重になってすっきりするなんて
そんなことがこの後待ち受けているんだろうか?
私のこのぼこっと出た広い瞼にくっきり二重の線が刻まれて
誰かに可愛いと思われるなんてことが?
緊張感と期待と不安を心が行ったり来たりする
愛されたくてたまらないおのが心が
天井を 空を さまよっている