月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

本当

本当のことはいつだって笑い話


「僕、子供の頃いつでも死にたいなあと思っていたよ
 周りに気持ち悪がられてた
 嫌いな奴の家に猫の死体を置いたり……」


これだけが笑えなかったの
嘘にまみれたあなたの
きっとこの話だけが 本当なのに

フロント越しの空

いつ死んでも同じ
死ねばすべて終わる
その時は一緒に死のう


女たちから吸い上げて手に入れたベンツの運転席で
なんでもないことのように呟いたあなたの前に
フロントガラス越しの空が
何処までも青く輝いていた


あの夏をあなたは覚えている?
死にたい気持ちとうらはらに
途切れることなく 生きるために
欲望のために動いていた私達
ひきずる過去よりはるかに長い未来に向かって
突き進んでいた私達


生きて いますか?
まだ前を向いて
ガラス越しの夏の陽光の眩さに目を細めて

空っぽのキス

商才に長けたあなたが
望むものを 物質を手にしているのを
想像するのは簡単


それでも
表に出られはしない
陽のあたることのない
あなたの陰惨な人生に神の祝福を


God bless you.
Somebody loves you.


人を支配する欲望まで満たそうとした
若き日のあなたの 地獄に堕ちた魂に
無関心と忘却のキスを 虚しさを込めて