月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

井戸の底(現在から)

心に井戸を掘って記憶を沈めた
それから20年
見たの 見たの
井戸の縁からそっと底を
暗闇にまぎれて
若き日の私がいた
殺した殺されたはずの魂が
それからおよそ10年におよぶ自暴自棄の時を
どろりとした井戸の底の腐った水に
足をとられて
もがいてる あがいてる
独りで空を掴もうとして手を伸ばしてる
かつて私を裏切った男の去っていく足を
白目を剥いて 凄まじいまでの必死さで 浅ましく
あれが私 死んだ私の魂の亡霊