月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

2018年10月のブログ記事

  • Changing game

    好奇心は命取りだ 最初はただのホスト崩れだった 知らない男に「魂を殺された」抜け殻の私が 誰も信じられなくて 野良犬を拾うように 飼ったつもりのろくでなし 私のマンションで三日ぶりにシャワーを浴びて 車中生活を送っていた男を部屋に住まわせ 下手くそなカレーと下手くそなアイロンがけ 芝居だとわかって... 続きをみる

    nice! 1
  • 私の世界

    私の世界は、私の体験と感情の記憶とほんの僅かの想像力でできている そこから出たことはないし 出たと言い張るのは、知識の武装集団だろう よって私の世界は、哀と怒り憎しみで踏み固められていくばかり 雨がよく降る 涙と血と唾で濁った水滴が あなたの世界が向こうに広がる 私の世界のガラス窓を曇らせる すで... 続きをみる

    nice! 2
  • 予言

    君みたいな子でね 君に似ててね 高そうな深いボルドーのゴルフウェアを着ながら 男は私をベッドの縁に座らせて  穏やかに 女の子にするように 優しく語り掛ける 出会った時にはもう30歳を過ぎていてね ガリガリで 何この子と思った 君みたいにね 話を聞いたら 好きだった男に振られて結婚しないと 毎日ビ... 続きをみる

    nice! 2
  • 蚊を飼う

    蚊を叩いたにすぎないと 私を切り捨てた あの人は ネットを見ているのを想定して書いた 暖かな血は冷えて体内を流れず 胸のあたりはギュッと筋肉が収縮する 頭は混乱して靄がかかり思考停止だ これがあの人の本音 それがあの人の見た私 「蚊を叩いた」 それは私の引き攣った頬を叩いた 緊張で固くなった胸が微... 続きをみる

    nice! 1
  • トラウマごっこ

    ねえ 笑っていないで 唇の片端上げる癖やめて プロジェクター消して ライブコンサートなんて 私が消えるの いなくなるかもしれないわ ねえ 怖い顔しないで 二の腕が傷のかさぶたで 血が滲んでも怒らないで 笑える話なの泣かないで 薬を飲んだの 死んでしまうかもしれない ねえ 比べたらいけない 捨てた女... 続きをみる

    nice! 1
  • トラウマごっこ

    ねえ 笑っていないで 唇の片端上げる癖やめて プロジェクター消して ライブコンサートなんて 私が消えるの いなくなるかもしれないわ ねえ 怖い顔しないで 二の腕が傷のかさぶたで 血が滲んでも怒らないで 笑える話なの泣かないで 薬を飲んだの 死んでしまうかもしれない ねえ 比べたらいけない 捨てた女... 続きをみる

    nice! 1
  • 逃げたら追う、それは感情

    私から逃げ出したかった どこまで歩いても走っても 思いつくすべてを試みても 私は私の中に閉じ込められ その向こうにいつだって 恐怖と不安と絶望を見てた ある夏の朝、ふいになされた 私に対する理不尽な蹂躙 事後いつも心は焦って 早く早く早く逃げて逃げて どこか安全な場所へここから あなたから どうし... 続きをみる

    nice! 3
  • 愛情乞食

    誰かに汚された私が ふらついた足取りで 貴方に辿りつこうとしている 誰をも愛してない私が 怯え震え怖がりながら 貴方の腕を離すまいとしている お願いどうか 私を愛して下さい

    nice! 2
  • 自己欺瞞

    うねる髪は伸ばさないことでごまかしてきた 細い目は二重にしたら黒目がちで錯覚できた 鷲鼻は段の骨を削ると土台よく綺麗になれた 歳なのは独りでさえいれば自覚せずいられる なんでもしよう 愛せない自分と 向き合わない為

  • 野苺

    幼い春 小山の頂きにあるマンションから麓まで 草々で覆われた山肌の斜面に野苺 薄い赤 子供の指先で軽く摘まんで 棘が生えていた 薔薇にはおよばず 薄い味 勢いよく駆け下りていく緑踏んで たんぽぽ摘んで 綿の実拭いて 白いふわふわがどこかに飛んでいくよ 大人の夏 体育館のステージの緞帳のような暗く重... 続きをみる

    nice! 1
  • 心の小さな窪み

    ……昔、私を好きだと言ってくれた男の子がいる サッカーが好きで、勉強ができて、できずぎるほどでなく 学校で有名なイケメンだった 「Mの女」 私はそう呼ばれていた  教室で 廊下で すれ違いざまに 振り返られ 時に噂された 当てつけにクスクスと笑われを繰り返した 「あの女が、あいつの?」 実際には私... 続きをみる

  • ショートカット(痣)

    腰の痣をメスで切り取る 麻酔の切れた状態で十数針、布団針を刺されるような痛みがささる 額や背中もびっしょりな私の頭から 医師が白いシーツを放るようにしてかぶせる 砂利のように嫌悪を悪意を投げつけられた 物心ついた頃には 幼稚園のビニールプールで 40年前 パンツだけを履いた子供達の群れのなか 汚い... 続きをみる

    nice! 1
  • 後悔

    反応があって怯えてブログごと詩を削除する 数十個の詩が消えてホッとする 私の過去が凝縮された日記 詩情などなく 詩の痕跡をとどめず なのになぜか 「読者がついた」と通知がきて 削除されていなかった喜びに いそいそと詩を書き 削除された 削除してほしかったはずの 嘔吐しそうな過去の塊 詩を探す 愛お... 続きをみる

    nice! 1
  • 術後

    「トップシークレット、あいつ、やったんだってよって、二重にしたの有名だよ」 学食でランチを食べながら、クラスメイトがさばさばとした口調で言う 長テーブルを囲んで向き合う私達の脇に、小さな女が現れた。 「山本、やったん?」 大きな声を張り上げ、女が両手をあげる。 「アイプチ」 私が怒鳴ると、女は舌打... 続きをみる

    nice! 5
  • 瞼の向こう

    瞼を眼球の間に、薄いアルミ板が奥までゆっくりと差し込まれていく 声も出ない痛みに、医師や看護婦の姿もかすむ 額には汗がびっしょりだ 眼球に麻酔の針が刺される ようやくして感覚をなくした瞼に手術が施される この重い瞼が二重になってすっきりするなんて そんなことがこの後待ち受けているんだろうか? 私の... 続きをみる

    nice! 2
  • 白い炎

    炭酸ガスレーザーの先から 青白い炎がライターと同じ形をして燃えている 医師は躊躇なく 私の顔の皮膚に炎をあてていく 麻酔もせずに 無数に広がる、 頬や唇の周りに1,2ミリの黒子の 痛覚を麻痺させる手間は面倒だ 黒子を焼くとて瞬時のこと 額に汗して私は天井をじっと見つめる 上唇の傍にある黒子がジュっ... 続きをみる

    nice! 1