月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

恋愛試合

自分の女を私に引き合わせるの
これが3人目ね
とどめがとんでもない美女だったこと
あなたはきっと計算ずくで
病気で死を宣告され離婚されたがゆえに人の痛みがわかる女
子供二人を抱えて離婚しても生活のためにたくましい女
それで私はあなたに気を許した
善意で私が良くなるように他の女を引き合わせたんだってね
そして三人目が何もしていない正体不明の美女だった
なかなかお目にかかれないほどの美しい人
独り暮らしの平凡な賃貸マンションで寝ているだけの


美女を紹介した後あなたは言った
「昔はもっと奇麗だったんだぜ。あんな奇麗な子が俺のことを好きって言ってくれる」
「20代はもっと奇麗だったんだぜ」
得意げなあなたの態度
「いいなあ、色んな人に愛されて」
私はケラケラ笑ってみせた
「ほんとにそう思ってるの、妬かないの、ねえ」
あなたは慌ててまくしたてた あざとさが匂う演技
こうやって私が嫉妬をおぼえてあなたに執着すればいい
貢ぐのすら厭わなくなるように
平気なのはあなたの魂胆が透けてみえるから
それは呆れと軽蔑を呼び起こし
そうやって期待が外れても私からさっさと去らないのは
愛情に飢えているからだろうか
あなたは母親の愛にさえ飢えてる愛情乞食
愛を知らないから、自分に物質を与えさせ
なおかつ愛情まで得ようとする
憐れな男


もてないうえに通りすがりの男に蹂躙されたばかりの私は
金銭を物を与えてこの男が傍にいてくれるので
不安や悲しさを紛らわせてる
私に切られたら困るこの男で憂さを晴らしてる
愛情のなんたるかを知らず、飢えているのにも気がつかない
子供みたいな愛を欲しがる駄々っ子


あなたがいくら女をつくろうと私を傷つけたりはしない
それでもあなたの女を紹介される度に傷はつく
女達があなたへの愛を剥きだしにして泣き笑う様のせい
その愛をあなたがいちいち受け止めているから
私のなかのどこを見渡しても愛がなくて愛されなくて
そんな自分を憐れむプライドのなさが悲しいだけ
あなたといても心は惨めになっていくばかり


他者に愛される幸せ愛されない不幸
他者を愛さない不幸 それだけを共有して
あなたは振り向かない私を貶めようとする
愛にみせかけた意地の張り合い
どっちが先に降りるか、下らない恋愛試合