白い炎
炭酸ガスレーザーの先から
青白い炎がライターと同じ形をして燃えている
医師は躊躇なく
私の顔の皮膚に炎をあてていく
麻酔もせずに
無数に広がる、
頬や唇の周りに1,2ミリの黒子の
痛覚を麻痺させる手間は面倒だ
黒子を焼くとて瞬時のこと
額に汗して私は天井をじっと見つめる
上唇の傍にある黒子がジュっと音を立て
鼻先を肉の焦げる匂いが漂う
白い肌 大切な薄い質感の私の取柄
三十歳を過ぎて小じわがそれゆえに目立ちはじめ
うっすらとしたシミも見逃されない肌
ゆえに黒子はそれ以上に特徴となる
焼きつくさなければならない
純粋な雪のつもった早朝の足跡もない地面のように
青白い炎で
いつか愛されるために
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