月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

罪はどこまでも深く

Sさんが、Sさんが
熱に浮かれたように、あなたが言う


Sさん、二千円しか持ってないのに饅頭買って俺と分けたんだぜ
あの頃は俺金持ってて、楽しかったなあ


車のフロントガラス越しの空を
夢見るように微笑みながら、あなたは見上げる


女を惹きつけるためのあざとい演技から離れた眼差しで


普段現れないあなたがいる その横顔に罪はない
あなたを人生の最も楽しい季節から突き落としたのは誰


他ならぬSさんじゃないのと
私は真実をのみこむ
嘘で固めたあなたの人生を狂わせたなんてわからない
不幸から這い出ないそれがこの人の幸せなのかも
Sさんに地獄の果てまでついていくことが


あなたはたくさんの女を落とした
その業と罪を心の井戸の底に沈めて蓋を
やがてSさんの手であなた自身が沈められようと


行けばいい、今日はどこまでも晴れて
祝うように陽光があなたを包んでる
やがて闇夜があなたを照らそうとも