月美の卑屈を生きる詩

感情のおもむくままに

わたし一人

カーテンの隙間から空が暗くなっていくのを眺めている
薬を二百錠飲んで三日間眠っていたせいでぼんやりした頭で
手首には無数の切り傷が走っている
安全ガードつきのカミソリで引っ掻くように切った表面だけの傷


彼からのメールをチェックする
「薬を飲むなんて、もっといい人だと思いたかった」
振られたショックでとっさに飲んだのに
むこうはあてつけだと誤解したのだろうか
「薬を大量に飲んだ」というメールに来てくれもせず
結局私とは遊びだったのだと無力感に包まれる


性的蹂躙を受けた過去を打ち明けたのはあなたが初めてだった
あなたは妙に爽やかに笑顔で私の頭を撫でて「忘れろ」と
ヘアワックスや下着で私の部屋に男の影を
それは愛の証だと喜んだ私は滑稽極まりない


「ほんとうは強いんだから」別れ際に彼が言った
強ければ過去を抱えてひとり生きていけるとでも
忌まわしい記憶は少しの隙をついてフラッシュバックする
表面には普通に見えても内心は世間から隅に追いやられた気分
ギュッと力んでいないと足下の地盤が崩れて落ちてしまいそう
あなたにしがみついていたかった


陽が沈み部屋はすっかり暗くなる
ベッドに横たわっているのに体がひどく重く感じる
この先私が起き上がれるなんてことがあるのだろうか
わたし一人